女性店員は明るい性格なのか、ぱっと笑顔になる。
伝票を胸に抱き、白い歯を見せる。
「あ、お兄さん
もしかして私の友達のお知り合いさんだったりします?」
上条は混乱しつつ、不審だと思われないよう
必死に取り繕った。
「はい、そうなんです。
昔ここで働いていた人から、藤咲さんの
話を聞いたことがあったので」
「あぁ、そうなんですか! えー、誰だろー?」
藤咲天音はにこにこ笑っている。
深く追求されるとボロが出る。
混乱しながらも、必死に話をそらした。
「ちなみにこの店に
他に藤咲さんはいませんよね?」
「はい、藤咲は私だけですー!
というか、昼の店員は私だけなので」
「店員も、あなただけ……」
愕然として、表情を失ってしまいそうだった。
聞いていた話と違う。
料理教室に通っているけれど、
たくさん店員がいるから休みの融通が聞くのだと。
『自分の知っている天音』は、そう言っていたはずだ。

