真夜中のパレード




その表情と素直な言葉に、上条は言葉を失う。



「そうしたら、上条さんの気持ち、分かりました。

確かに、ちょっと嫌ですね。

仲良くするのをやめてなんて、言えないですけど……」


彼女の美しさに、一種の感動のような感情を抱いた。



何度見ても。

むしろ、彼女を見ればみるほど
その美しさに惹かれていくのが分かる。


それには気づかず、透子は言葉を重ねる。


「なんだか上条さんが、遠くに行ってしまったような
ちょっと寂しい気持ちになりました」


そして困ったように苦笑する。

    
「ごめんなさい。
私、あまりこういう経験がないので、
そういう所が鈍く……きゃっ!」



言葉の途中で、身体を強く抱き寄せられた。


「あ、あの、上条さん?」


どきどきしながら彼の胸に顔を埋める。


そっと背中に手を回すと、
自分と同じシャンプーの香りがした。



それから顎に指をあてられ、上を向かされる。

これから起こることを予想し、否応なしに鼓動がはやくなる。


目を閉じると、唇がかさなった。 


「……はぁ」


唇が離れてからも、まだぼんやりとした頭で
ぎゅっと彼を抱きしめていた。