真夜中のパレード




上条ははっとして、すぐに否定の言葉を口にした。



「いえ、違うんです」


それから言いにくそうに言葉を濁す。


「ただ、その……」


透子は無垢な瞳でじっと彼を見つめる。


恥ずかしそうに頭を撫で、ぼそぼそと呟いた。



「……ただ、あなたに親しい男性の友人がいると分かって、
ちょっと嫉妬しただけです」


透子は数秒彼の言葉の意味を考え、
理解した後少し頬を赤らめて頷いた。



「そ、そうなんですか」


上条も口元に手を当て、恥ずかしそうに視線を逸らす。


「すみません。
小さい男だと思って、幻滅しましたか?」


「いえ……」


ふるふると首を横に振る。

それから、もう一度はっきりと声を出した。


「いいえ」



透子は何か考えるように、数秒目を閉じる。

そして胸に両手を重ね、ゆっくりと頷いた。


「上条さんの気持ち、分かりました」


「え?」


「今、私も上条さんに親しい女性の友人がいるのを
想像してみたんです」



透子は美しい笑顔を上条に向ける。


「っ!」