茜と不思議な夏

そんなことを思いながらぼーっと歩いていると、どん!と誰かにぶつかってしまった。


驚いて上を見上げると、一気に身体中の体温が上がってしまった。


ちょっと怖そうな雰囲気を出しているけど、笑うと垂れる瞳…。


太陽を背にしてキラキラと輝いている新一先輩だった。


「茜じゃんー!気をつけろよ」


そう言うと、優しい笑顔を向けた。


先輩は私の学校の三年生。


ちゃらそうに見えるのが難点かな…。


中学生には見えない程、大人っぽくてかっこよくて、私の子供の頃からのヒーローだ。


学校じゃ恐がられてて、後輩とかわたし達の学年の子は近寄らないけど、人柄の良さに三年生には友達が沢山いて、いつも囲まれてるっけ…。


とにかく、私は今、先輩の胸の中にいるってこと!?


ど、どうしよう。


ドキドキと胸の振動が速くなる。


「ちっ。おい新一、離れろよ」


私の隣から少年っぽい声がした。


…みことだ。


「あー、みこと、でかくなったな!」


そう言うとみことを見てにかっと笑った。


「うっせ。とにかく離れろよアホ」


そう言ってから、私の腕を強く引っ張った。


「いったた…痛いよ!」


「うっせえよ。おい新一、買い物の邪魔すんな」


みことは新一先輩に生意気な口を叩いている。