私はあなたになりたい【短編】

呼吸を整えると、チャイムを押した。

ドアが開く。順さんが出て来た。

腕には、子猫。

「どうした?

忘れ物か?」

私は首を横に振る。

振った後で、順さんを見つめた。

「…好きなんです」

私は言った。

「順さんが……あなたが好きなんです」

ちょっと驚いたように、目を見開く順さん。

「好きだから……好きだから、この子になりたいって思ってた。

順さんのそばにいたいって、思ってた」

「ミーコに、か?」

私は首を縦に振る。