「じゃあまた」

私は手を振ると、外に出た。

墨汁をかけたような真っ黒な空を見上げると、白い三日月があった。

その三日月に導かれるように、私は歩いた。

――でも。

私は立ち止まる。

そして、来た道を走って逆戻りした。

やっぱり、伝えなくちゃ!

“好き”って、言わなくちゃ!

いつまでも子供扱いされたままじゃ、寂しいよ!

子猫になりたいって思っていたら、寂しいよ!

順さんの家の前につく。