鬼蜘蛛【短編】





化け物が気が触れたと人は笑うだろか。



それもよい。



何もかもが狂っているのだ。
人も、世も皆狂って……
私も狂っただけのこと。




そう




あの時からずっと……
私はこの日が来るのをずっと待っていたのだ。




(先に逝って待っているから……)



逃れ得ぬ死の待つ戦へと向かった美しい蝶を思い、蜘蛛はニイ、と笑みを浮かべた。



「早く……追って来い」



朝日にさらわれ塵と化す影を、薄く姿を残す月だけが見ていた。


【完】