白龍と黒龍


「琉唯が総長になったら、白龍は黒龍に
負ける。お前だって分かる事だろ??」

確かに...俺は琉唯にケンカで負けたことなんかねぇ。
俺が強いのも、確かにわかってる。
でも、だからって

「なんでっ 女っ...」

「お前に勝てる力があるから。」

こんなひょろひょろの女が??
俺に勝つ? 笑わせんなよ。

まぁ、琉唯じゃなくても白龍は潰すつもり
だったし、総長の一騎討ちのときも琉唯が
相手だとやりづれぇし。
いっか。
納得できねぇけど。
こんなやつでいいのかよ??結さん。

そして次はいよいよ赤札貼り。
この女大丈夫なのか??
もちろん、俺に赤札貼るやつなんかいなく
この女の番。

だけど、あいつは「興味ない。」と言って
ケーキをほおばってる。
ありえねぇ、あれじゃ威厳もプライドも
ねぇんじゃね?と思っていると...

「あれが白龍総長とか笑わせんなよ。
だったら、俺がなったほうがましだな」

と黒龍の時期幹部、山下 要が言っていた。
赤札貼りは黒龍が白龍の新総長に貼っても
いい事になっており、勝てば白龍総長となることも出来る。

「俺、白龍総長に赤札貼ります。」

「いけええぇ!!!! 要!! やっちまえ!!」

野次がとぶ。女は呑気にケーキをパクついていて要をチラッと見ると要に背を向けて
プリンを食べだした。

「クソが 余裕ぶっこきやがって...!」

要が後ろから殴りかかる。
やられた!!!! 誰もがそう思ったのに、
女は要のデコにフォークを突き刺し
停止している。

「な...??」

本人もビックリして声が出ていない。
女はフォーク要に突き刺したまま要を壁に
追いやると拳を振り上げた。
あ、、やられたな。 また、皆がそう思っていると。

ダンッ

「壁ドーン。流行ってるよね。」

さっきの音は要を殴ったのではなく壁を叩いた音だった。

「んで!! 殴れよ?! 俺は殴りかかったんだ
ぞ?! 敵だろ? 同情してんのかよ?」

要が叫ぶ。

「あたしは...殴られてないし。
最初にいったよね。興味ないって」

「待て。コイツを殴んないだったら、
お前は負けになる。総長失格。
そうなりたくないんだったらさっさと
殴れよ。」

俺は睨みながら女に言った。

「ルール? あたしにルールなんかないし
あるから何なの? あたしを勝手に縛り付
んな。」

女が睨み返してくる。アーモンド型の瞳が
俺を捕らえて離さない。

「まぁ...殴るだけならいいか。」

そう言うと要に近づき手を振り上げた。
パチンッ

「~~つっ ってぇ!!!!」

女がしたのはパンチではなくデコピン。