白龍と黒龍


胡桃side

隼斗がお風呂に入ってるあいだ部屋を探検
してる…あたし…

さっき、玄関先にあった写真たて。なんで
伏せておいてたんだろ? 写真たてを見てると
多分、隼斗と思われる男の子と綺麗な女の人
お母さんかな..隼斗によく似たイケメンな
男の人。お父さんだろう..隼斗がケーキの
ロウソクを消している写真だった。

「可愛いじゃん…隼斗。」

こんな微笑ましい写真を何で伏せてんの??
次の写真も家族3人が笑っていて楽しそうな写真ばかり…でも、
『HAYATO 4歳 おめでとう』と描かれた
誕生日ケーキの写真に写っていたのは隼斗
ただ1人。 5歳のも6歳のも7歳のも1人。
隼斗の顔は笑ってはいなかった…むしろ
いまにも壊れそうな目だった。
この家も…片付いた綺麗な家だけど、必要
最低限の家具しかなくて悪く言えば殺風景。
あたしの家と似てるんだ…

「その写真、貸して。」

隼斗があたしが握っていた写真たてを取り上げた。 するとゴミ箱へドサっと捨てた。

「隼斗っ!! 何してんの?! 大切なもの
なんでしょ?!」

「大切?? 俺の嫌いなものだよこれは。
俺が忘れたいもの。」


「なんで。」