「10・9・8…」

世紀末、ここは日本最高の人口密度を誇る都市。

大きなモニターにはこれまた大きく数字が映し出されていた。

テンションMAXのマイクを握ったアナウンサーは数字の動きに合わせて大声を張り上げる。

「7・6・5…」

同時に観衆も大気が震えるほど叫ぶ。

恐らく、視覚的な問題さえなければ、ビルがダイナマイトで爆破されようが誰も気が付かないだろう。

「4…」

その観衆の中に、中学生の松浦凜(マツウラリン)も混ざっていた。

モデル顔負けのスタイルの良さ。

アイドル顔負けの愛らしい声。

彼女は、街を歩けばだれもが振り向く美少女。

そして、メディアが飛びつく話題性。

中学生にして、現役アイドル。

超人気のグループのセンターだ。

「3…」

その反対側にいるのは、高校生の白河神奈(シラカワシンナ)、同じく高校に通う服部平弥(ハットリヘイヤ)。

二人の関係?

幼馴染…

んな訳なくて、ご想像通り恋人同士。

中学の時から付き合っている。

容姿は別に普通。

どこにでもいるごく普通のカップルだ。

「2…」

特設ステージの目の前にいるのは、東桃(アズマトウ)と東桃(アズマモモ)。

桃が兄、モモが妹の双子だ。

(全く分かんないのでモモのほうをカタカナ記載にします_(._.)_)

性別は違うのに何故か瓜二つ。

十歳というのも手伝って、声も身長も全く同じ。

本人たち以外には見分けが付かない。

「1…」

あと一秒。

会場は異様な盛り上がりを見せた。