嘘告白




予想外の返事に戸惑う。


「えっ、ちょ、待ってください!
付き合うんですか!?いいんですか」



手をパタパタ動かして、私は格好悪い。




「うん?でも、付き合うために告白したんでしょ」




小野くんは笑った。





「えっ。いや、でも喋ったこともないし...」

「そうだね。これからもっとお互いのこと知っていこう」





小野くんは携帯を取り出し、画面をじっと見つめると、「ごめんね」と謝った。



「え?」



携帯をポケットにしまいながら小野くんは言った。




「今日はちょっと用事があってさ。
一緒に帰ろうと思ったんだけど...明日でもいいかな」

「へ?」

「なにその顔」



小野くんは歯を見せて笑う。




「じゃあね。ばいばい」




小野くんは私に手を振りながら帰っていった。




「...どういうこと」




とりあえず、優奈と美紅の元へ急がねば。


昇降口まで走った。








優奈と美紅も私のところへ来るつもりだったのか、こっちに向かって走ってくる。





「ちょっと彩花!!」

「み、美紅...」

「なにあれ、どういうこと!
あんたら付き合うことになったってことでいいの!?」



予想外の展開に、私達3人は息を切らしながら驚いている。




「そういうこと...でいいのかな...?」

「もう、しっかりしてよ彩花」




この状況でしっかりなんて無理だよ。
理不尽なことを言う優奈に少し苛立つ。




「でも、まさかあの小野がOKするとはね」




ですよね...。
まさか私みたいなやつと。




「ね、ねぇ、付き合うってどれくらい付き合えばいいの?
まさか、ずっとなんて言わないよね...?」



2人の顔を交互に見ながら不安の声を漏らす。



すると優奈が「1ヶ月」と言葉を発した。




「え?」

「1ヶ月くらいでいいんじゃない?」

「え、ちょっと」

「まあまあ、いいじゃない。
だってあの小野柊也と付き合えるんだよ?」



優奈は手を胸の前で組みながら語り始めた。




「あんな学年の王子様とさ、1ヶ月カップルになれるんだよ。
もしかしたらちゅーだって...」



美紅は隣で「彩花羨ましいな」と叫んでいる。



この2人頭おかしいでしょ。




「もしかしたら上手くいって結婚までいくかも!!」

「いやいや、それは夢見すぎでしょ」




なぜか付き合うことになった私が1番冷静になっている。



「まあともかく!小野柊也とのカップルライフを楽しみなさい!」



2人の圧力に思わず「はい...」と承知している自分がいた。