「もうすぐ着くよ。」
ザザーザザー
波の音が窓を閉め切った車の中でも
聞こえてきた。
『うわー♪!!』
海を見るのは久しぶりだった。
小さい頃にお父さんとお母さんと一度
来たことがある。
テレビで見るような
綺麗な青い海とは全然違って、
灰色の決して美しいとは言えない
海の色にとてもショックを受けた記憶がある。
一生忘れられない思い出になった。
その日が運悪く雨だったのもあると思うけど。
「ちょっと外歩こうか!」
『うん!!』
久しぶりに見る海もやっぱり
テレビで見るのとは違っていた。
でも天気が良かったのもあって
身体に吹き抜ける風は心地良かった。
暑くもなく寒くもない
ちょうどいい陽気。
海岸には
私達以外にもう一組いた。
あの人達には
私達がどう映っているのだろう。
カップルに見えてるかな。
援交とか・・・思われてないよね?
優は、海を見つめる私をじっと見ていた。
手はずっと握ったまま。
