恋愛未熟児

『いつも散らかってるんで、気にしなくていいですよ。』

笑いながら言う真司くんはやっぱりいい人だ。

『もう!ちゃんと片付けてるじゃん!!』


佳織が顔を赤くして言った
彼女に片付けは無理なのだ
それを分かってても一緒にいてくれるなんて
どれだけいい人なのだろう


きっと、いや、絶対奈々と翠も同じことを思っているだろう



真司くんも交え、飲んでいると奈々の携帯が鳴った

『彼氏?』

『うん、多分仕事終わったって電話。
もしもし〜?』

普通だったら外へ行くなりなんなりするだろうが、そこは奈々
そのまま話し始める


『分かった、着いたら電話して。はーい、じゃねー。』

「迎えに来るって?」

『うん。あと10分くらいかなー?乗ってく?』

「いや、あたし今日実家なんだよね。」

『そっか、ムックいるもんね。』


ムックとはあたしの愛犬で、今日は実家に預けてきた

『翠は?』

『ひろちゃん実家なら一緒に帰ろうかなー』

翠の家(実家暮らし)はあたしの実家と近いわけではないが、方向が一緒なのだ