涙色と恋色。


夏祭り当日。

「結月〜!」

紗衣が私に手を振る。

あさがおのついた真っ白な浴衣に
少し口紅を塗って、こっちに笑顔を向ける。


「紗衣!久しぶり〜」

紗衣は部活で
私は日にちが合わなくて

なかなか、会う機会が無かった。


「りんご飴食べよ!」

「うん!」

大勢のお客さんがいる後ろに並んだ。

少し前の方から

聞き覚えのある声が聞こえた。


「あ!たこ焼き美味しそっ!
それから・・クレープも!あと焼きそば!」

「食い過ぎだろ…太るぞ?」

「なんだとぉーっ!
拓哉全然食べてないじゃん。おなかすいてないの?」


一ノ瀬くんと渚紗ちゃんだ。

二人とも浴衣がよく似あってる。


「あっ!」

そんなことを考えてると
渚紗ちゃんと目があった。

笑顔で手を振ってきた。

「わっ!渚紗先輩と拓哉先輩じゃん!
結月!仲いいの?」

「うん。倒れたとこを助けてもらってさ」