「大丈夫だから」
そう言った鏡ちゃんは、私の手をギュッて握ってくれる。
「鏡ちゃん‥‥」
鏡ちゃんはそっけないし無愛想だけど、
やっぱり本当は誰よりも優しい。
昔からこの手に握られると安心できた。
いつからか、小さかった鏡ちゃんの手は大きくて暖かい手になっていた。
多分‥‥鏡ちゃんがいなかったら私この道を歩けてないな。
家の布団でくるまってたよ。絶対。
「鏡ちゃん、私友達できるかな?
もし鏡ちゃんとクラス離れたらどうしよう‥‥」
クラスわけは学校についたら張り出されてるらしいからまだわからない。
「今からだろ、全部。
心配しすぎ」
「そうだよね‥!」
私はさっきより強く鏡ちゃんの手を握りしめた。
そしてザワつく校門の目の前に辿りつく。
うぅー‥‥。
やっぱり怖いよ‥。
お腹痛くなってきた。
「そろそろ手離すぞ」
「あ、うん‥‥!」
昔から学校に近くなれば握っていた手を離すのは当たり前になっていた。
本当は寂しいけど‥‥私たちはただの幼なじみだから仕方ない。