中へ入るとすぐ、百合子は引き戸を閉め、


「何の用か知らないけど、婆やがお菓子を持ってけってうっさいから行ってくる。ここで待ってなよ。」


またすぐ、外へ行ってしまった。

「美和さん、どうしようか。」


そう言うと美和ちゃんは、チョット困った顔をして


「うーん…そうだね…
それにしても百合子ちゃんって凄いね…」


「ん?
どうして?」

百合子が凄い?
うーん確かにお家柄も、そのギャップも、上品さも凄いけどそんなしんみりして言うことかな?


「だって誰も、私だってわからなかったのにパッと見てすぐ、私が昨日のバカだって気づいちゃうんだもん。百合子ちゃんは、人の見た目じゃなくてちゃんと心までみてるんだ。」



「ああ…」


言われてみればそうだ。

百合子って、意外と人のこと見てるんだな。

なんだか凄い。