「……ん、…さん……豊島さん」
「っあ」
「次、降ります」
「…あ、はい…」
……あれ、あたしいつの間にか寝てた……?
「っあのっ、すみません、寝るつもりは全然…っ、」
JRに乗った記憶はあるけれど、そのあとどうしたのかまったく思い出せない。
「全然大丈夫ですよ、気にしないでください」
眠い目を擦るあたしの横で、口許をゆるめる彼が少し見えた。
聞き覚えのある様な、ない様な駅で降り、誰もいない改札を抜けた。
出口のドアを開けて外に出て、目の前に広がった景色になんだか見覚えがあった。
「ここ、ヒマワリ畑が有名なんです」
隣に立った岩淵くんがそう言った。その言葉で思い出した。ああ、ここ、来た事がある。去年の春、リンと2人でこの駅で降りたんだ。


