正門には既に岩淵くんがいて、あたしを待っていた。門にもたれかかって、スマホをいじっている。
「い、岩淵くん、すみません、待たせてしまって…」
あたしに気づいた岩淵くんは、スマホの画面から視線をこちらに移して「大丈夫です」と少し笑った。そしてスマホをパンツのポケットに入れた。
「じゃあ、行きましょうか」
「…は、はい」
どこに行くんだろう、と思ったけれど、訊けなかった。岩淵くんが目の前の信号を渡るから、あたしもそれに続いた。
少し歩いて、駅に向かっている事に気づいた。あたしがいつも歩いている駅までの道だ。
岩淵くんは迷いなく駅へ向かうから、もしかして電車通学なのかな、と少し前を歩く彼の背中を見ながら思った。


