にやりと笑った犯人は、手をひらひらさせて人混みの中に消えていった。
…あたしがまだ少し後ろ向きなの、気づかれたのかな……。
本当は、まだ少し、前を見るのが怖い。もう二度と、戻れない気がしたから。
リンの事を忘れてしまうあたしになるのが…怖かった。
…だけど。
今ので、覚悟が出来た様な気がした。
…いい加減、ちゃんと見なきゃ。しっかり、向き合わなきゃいけない。
しっかり、岩淵くんと真正面から、向き合わなきゃ…。逃げるのは、もう終わりにしよう。
「…ありがとう、朱理」
もう見えなくなった背中に向かって言った。そしてあたしは、正門へ向かった。


