岩淵くんに後ろから抱き締められているとすぐに理解できるほど、あたしの頭は冷静ではなかった。
「…あ、あの…っ」
どうして…? なんで、あたしは抱き締められてるの……?
あたしをここから出そうとして開いたガラスのドアは、役目を果たせないままゆっくりと閉まった。
岩淵くんはあたしを解放するどころか腕の力を強めていく。
「…あ、あの、岩淵くん…?」
「話してください」
頭の後ろから聞こえた彼の声は、なんだかあたしより苦しそうだった。
「話してください、俺に。豊島さんが抱え込んでるもの、全部…吐いてください…」
「…え、い、いや…でも…」
「辛そうなんです、豊島さんが。力になりたいんです。知り合ったばかりだし、頼りないかもしれません。でも…」


