「覚えてるでしょ、岩淵くん気にしてたよ? 千歳になんとなく避けられてるんじゃないかって…」
「っそ、そんなつもりは……、」
『ない』とは、言い切れなかった。
あたしは心の中で、確かに岩淵くんから逃げていた。それも行動にしっかり表れている。
それが、死んだ彼氏と声が似ているからというだけの、いかにも幼稚な理由であるにしてもーーー。
「…どうしたのよ、岩淵くんの事嫌いなの?」
「ち、違うよ! そうじゃない…」
「じゃあ、どうして?」
あたしは既に朱理に、高校の時にリンという彼氏がいた事、そして彼はもう亡くなっている事を話していた。けれど、声についてはさすがに話しているわけもなく、あたしは理由を話すためにその事についても話した。


