また、きみの隣で





「え、なに、2人知り合い?」

「……」

「…あ、この前、少し顔合わせたくらいで…」


黙るあたしをちらりと見た彼が、代わりに答えた。


「ああ、そうだったんですか! …あ、はじめまして! あたし、文学部1年の持田朱理っていいます」

「あ、ご丁寧にどうも。俺は工学部1年の岩淵諒(いわぶち りょう)です」



工学部……リンが、行きたいって言っていた学部だ…。




「ホラ、千歳も自己紹介しなよ」


「え……なんで、」

「ホラ早く」


満面笑顔の朱理に圧されて、あたしは渋々口を開いた。


「…文学部1年の、豊島千歳、です…」

「豊島さんっていうんですね」

「っ、」


優しさを帯びた落ち着いた声につられて視線を向けると、あたしと目が合った岩淵くんは目許をゆるめた。