また、きみの隣で




「…っそ、そんな事…」


ない、と言おうとして、言葉が詰まった。思わず顔を上げて見た彼の目には、涙が溜まっていた。


「え……、あの、岩淵くん…」

次の瞬間、あたしは岩淵くんの腕の中にいた。



「…話してくれて、ありがとう……けど、辛い思いさせて、ごめん……本当に……」


あたしよりも辛そうな声で、彼は何度もごめんと言った。



「…あの、岩淵くん……あたしは、大丈夫です…。こんな話、聞いてくれてありがとうございます…。けど、岩淵くんを傷つけてしまう様な話で…あたしのほうこそ、ごめんなさい…」

「そんな事ないです」


あたしの右耳に、岩淵くんの声がはっきりと入ってきた。



「…俺は、豊島さんみたいに、大事な人を亡くした事がないから…豊島さんの痛みがすべてわかる事は、難しいかもしれない…。だけど、その痛みを想像する事なら出来る。想像しただけで……胸が詰まって、どうしようもなく……気持ちが保てそうになかった」