忘れなきゃいけないのに……、前に進まなきゃいけないのに………全然、無理だ。


忘れる自信も、前に進む勇気も……なにもかも、今のあたしにはない…。




だって……今もまだ………リンの事が、大好きだ…………。




いつの間にか木のトンネルの中にいた。あたしは道の真ん中で、崩れる様にしゃがみこんだ。


「……豊島さん…」


岩淵くんが遠慮がちな声で、あたしの横にしゃがむのがわかった。

ああもう最悪。岩淵くん、絶対困ってる……。


けれど、顔なんて見れなかった。涙でぐちゃぐちゃの顔なんて、みっともなくて上げられない。

涙とともに顔を膝に押し付けた。




「…豊島さん……ごめんね」



……え…? なんで、岩淵くんが、謝るの……?



「……俺、豊島さんが辛そうだったから…少しでも力になれたらって思って、ここの景色を見せてあげたいって思って、来たのに……豊島さんには余計辛い思いをさせてしまうし、そのせいで泣かせてしまうし……、本当に…ごめんなさい…」