杏を抱っこして歩く。 「…母ちゃんと父ちゃんに怒られっかな?」 「怒られればいいんだ!」 杏は真っ赤に擦りむいた頬を膨らます。 「痛かったなぁ…ごめんなぁ~」 あまりにも傷だらけすぎて兄ちゃんは胸が痛いぞ! 「もういいよ…とりあえずお母さんたちには黙っといてあげるよ」 「え!いいのか?」 「うん その代わり、お兄ちゃんも忘れてよ? あたしがこんな無様なレースしたなんてヤダもん 今度はさ、キレイに速く走るからさ!」 今度? …そっか、お前はやっぱり前しか見ない。 さすが俺の妹だ!