君への距離~僕らの未来~





おばあちゃんと母ちゃんが朝ご飯の支度をしていた。



翼は金魚を隠しながらそっと外に出ていく。



翼は大きな車にどんどん荷物をつんでいく。


赤ちゃんのベビーカーも慣れた手つきで畳んでのせる。





「翼ぁ、もうすぐ帰っちゃうの?」




あたしは翼の背中に向かって尋ねた。




「あれ?起きちゃった?



う―ん…今日からまた野球だからね、朝ご飯いただいたらすぐ帰らなきゃね。」





「ふーん…」



あたしは寂しくなってうつむいた。





「金魚…東京まで元気にしてるかなぁ?」



翼がそんなあたしに気づいたのかは分からないけれど話題を変えた。




「大丈夫だよ!袋より広いし」




ボウルの中の金魚を2人で見つめる。






「このボウル、洋子ちゃんちのなんだけど…」






「いいよ!翼は水風船と指輪とクマくれたじゃん」







「ありがとう」