「あ!洋ちゃーん!翼くーん!」
静寂をやぶるように声が聞こえた。
翼の顔がぱっと明るくなったのが、あたしには分かった。
杏がこっちに走ってきた。
赤ちゃんを抱っこして、右手には金魚…
「「あ!」」
翼とあたしはたぶん今同じことを考えてた。
顔を見合わせて笑った。
「なになに?なんで笑ってんの?」
杏は不思議そうにあたしたちを見る。
「杏ちゃん、金魚すくいしたの?」
翼が笑いながら杏に聞く。
「うん、2匹すくったんだ♪1匹おまけ!」
袋の中で仲良く泳ぐ3匹の金魚、それはまるで…
「翼と杏と赤ちゃんみたい!」
あたしを見て2人が優しく微笑んでくれた。
翼のこと大好きだけど、
あたし杏も大好きだから、
2人が幸せそうに笑ってるのを見てすごくすごく嬉しかったんだ。

