「…洋子ちゃん?あと二球あるから投げる?」
翼はあたしが悲しそうな顔をしている理由を勘違いしているみたい。
でも、翼らしい。
優しいんだ…
「クマと車のおもちゃが欲しい!」
あたしの答えにまた翼は笑った。
「了解!」
翼はリクエスト通り2つともとってくれて、山田のボールも頼まれた一球だけ投げて、とってあげたプラモデルの箱にサインをしてあげていた。
店のおじさんもサインを欲しいと言ったので、翼は申し訳なさそうにカラーボールにかいていた。
騒がしくなってきたその場を離れてあたしたちはしばらく歩いていた。
「翼ぁ、ありがとう!」
あたしは指輪を光らせながら言った。
車のおもちゃとクマはおっきいから翼が持っている。
「どういたしまして!
でも車のおもちゃで良かったの?」
「うん!これは赤ちゃんのぶん!」
「翔太に?ありがとね。」
全部翼がとったのに、あたしにお礼をいうのがおかしくて笑ってしまった。
「翼、喉かわいた!」
「ん?そっか、じゃあなんか飲もうか!」

