「何だ、泰東?」



橘部長を見つめていればバッと急に目が合う。
いつもなら怖くて緊張してしまうけど今は全然しない。


だっていつもより少し……。
ほんの少しだけ……橘部長の顔が優しい気がするから。




「いえ……。橘部長……」

「どうした?」

「絶対に……この仕事……。成功させましょうね」

「……あぁ」




普段は冷たく感じる橘部長の低い声も……。
無表情の顔も……。



全てが優しく感じた。
橘部長って……本当は……。
クールで怖いだけじゃないのかも……。



本当は優しくて……。
温かい心の持ち主なのかもしれない。



ただ……。
仕事に一生懸命なだけで……。