「この商品は自分で色が作れることが売りだ。
だったら、どの色の口紅をどれだけ混ぜても綺麗な色になるように研究しなければいけない」



まぁ……。
そうなんだけどね……。


橘部長の指摘は正しすぎて困る。
使う人によって選ぶ色も量も違うだろうし混ぜる事によって色がおかしくなったりしたら駄目だもん。
どの色を商品に取り入れるかを選ぶには多大な時間と労力がかかるな……。



「一応、色の候補はいくつかあるんですけど……。
試してみない事には何とも言えませんね……」

「そうか……。
じゃあ後で色の候補をまとめた資料を俺の所に持ってきてくれ」

「はい」



よっし……。
頑張らなきゃ!!
橘部長と話していれば佐藤せんぱいは難しい顔をしていた。




「でも試すにしてもコストがかかるんじゃ……」

「多少コストがかかっても仕方ない。
その代り妥協はするな。完璧なものを作り上げる」




佐藤せんぱいの言う事も尤もなんだよな……。
橘部長は許可してくれるみたいだけど……。




「でも何とかなるんじゃないですか?
夏香の初プロジェクトだし俺は精一杯、協力する」

「大樹……。ありがとう」




大樹は私が不安なときはいつも安心させるように優しい言葉をかけてくれる。
本当に優しくていい人だな……。




「やるからには絶対に成功させる。
やる気が無い者はすぐプロジェクトから外す」




橘部長の厳しい声に私たちは深く頷いた。


ここからだ……。
私の夢がここから始まる!!