「私が今回考えたのは自分でオリジナルの色が作れる口紅です」



口紅と言えばスティックタイプが一般的だが私が考えたのはケースに入った物。
パレットみたいになっていてそこには同じ系統の色の口紅がたくさん入っている。
それを少しづつとって付属の筆で混ぜると自分だけのオリジナルの色が出来る。
今までの口紅は色が決まってて自分に合ったものを見つけるのは難しかったけどこれならそんな問題は生まれない。


商品を説明し終えると佐藤せんぱいは私が書いた企画書をじっと眺めていた。




「……夏香ってやっぱり女の子なんだね」

「……どういう事ですか?」



私の事を男だと思ってたって事!?
佐藤せんぱい……それは酷いですよ!?



「いや……こんな発想は思いもしなかったからさ」

「夏香やるな~」




佐藤せんぱいの言葉に大樹まで満面な笑みで私を見てくる。
自分の事のように喜んでくれる大樹に心が少し温かくなる。




「言ったはずだ。この企画書には問題点があると」




和やかな空気をぶち破ったのは勿論この人、橘部長だ。