素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~

「分かりやすすぎなんだもん。
夏香ちゃんはもちろんだけど……橘さんも」

「……」

「……」


翔也さんのニヤリとした顔つきに何も喋れなくなる私と橘部長。
そんな私たちを見ながら面白そうに口を開くのは翔也さん。


「本当に似た者同士だよ2人は……」

「……似てませんよ別に……」

「あぁ、俺は泰東みたいな泣き虫じゃない」

「ちょっ……橘部長!?」


翔也さんに反論した私に同調してくれたと思ったら、私をからかう様に橘部長は私を見た。
確かに最近はよく泣く事が多かったけど……基本は泣き虫なんかじゃない。
そう思って否定をしようとすれば、コホンと咳ばらいが聞こえた。


「いちゃつくのは後にしてくれる?」

「いちゃついてなんか……」

「いちゃついていな……」

「何?」


何とも恐ろしい笑みで私たちを見る翔也さんに私は勿論、橘部長も謝っていた。
私たちが黙ったのを確認すると翔也さんは再び話し出す。


「そっくりだよ。
化粧品へ対する想いも、鈍感なのも……。
お人好しの馬鹿って事も」


化粧品に対する想いは認めるけど、鈍感とお人好しの馬鹿って何……?
首を傾げる私。その隣で同じ様に橘部長も首を傾げていた。


「……はぁ……この際……全部教えてあげる」


そう言って翔也さんは私の方を見て優しく目を細める。
その顔は優しいものだったけど、哀しそうに見えた。


「夏香ちゃんは最初から失恋なんてしてないよ」

「……え……でも私は……」


翔也さんの言葉にい浮かんだのは喫茶店での出来事だった。