これは一体……どういった状況なのだろうか?
目の前の大きな鏡に映っているのは間違いなく私だ。
でも私じゃない。
なぜ鏡の中の私はウエディングドレスを身に纏っているのだろうか。
首を傾げれば鏡の中の私も首を傾げる。
女の子だったら1度は着てみたいと思うだろう最高のドレス。
それは私も例外ではなかった。
着てみたいという憧れはあったが……。


「何で!?」


思わず叫べばクスクスと女の人が笑っていた。
……恥ずかしい、女の人は私にベールを被せると最高の笑顔で鏡の中の私に微笑みをかけていた。


「水沢様からのサプライズでございますね?
凄く羨ましいです。本気であなたの事を愛されているのですね」


女の人が言っている意味が分からない。
サプライズって何?まさか……。
え?これって私と翔也さんの結婚式?
いやいや……。
頭の中がパニック状態になる。
私と翔也さんは結婚どころか付き合ってもいない。
なのに……。


「あの私は……」

「……水沢様は本当に素敵な方ですね。
最愛の人のために自分を……」

「え?」

「い……いえ!
それでは水沢様の所にご案内しますね」


慌てたように微笑む女の人に連れられてきたのはさっき車から見た教会だった。
教会……ウエディングドレス……。
何度考えてもこの2つの単語が意味するものは1つしか思い浮かばない。


「では……行ってらっしゃいませ。
……永遠の幸せをあなたに……」


女の人はそう言って笑うと教会の扉を開けた。