素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~

数日後


「泰東、この……」

「大樹、あの件なんだけど」



「泰と……」

「佐藤せんぱい!あの相談が」



「たい……」

「販売部に資料届けに行ってきます!!」



私は最低だ……。
どう接していいか分からないからと言って橘部長を避けるような態度をとってしまっている。
こんなんじゃ仕事にならないし、ダメだと分かっていても……。
体が勝手に反応してしまう。橘部長を見ると胸が苦しくなって足が違う方に向いてしまうんだ。
だから私は最近、橘部長とろくに話もしていない。



お昼休み

仕事に熱中していれば周りには誰もいなくなっていた。
お昼ご飯食べに行かなきゃ。
そう思い立ち上がるのと同時に扉が開いた。


「あっ……」


思わず漏れる声。
それもそのはず、だって目の前には私がずっと避けていた人がいるんだもん。
気まずい気持ちに駆られながら私は軽く頭を下げてオフィスから出た。


いや……出ようとした。
でもそれは出来なかった。

なぜなら私の手首が橘部長の大きな掌に掴まれているから。
橘部長に触れられている、それだけで私の心臓は破裂しそうになる。
激しく動く鼓動の音が橘部長に聞こえてしまわないかが心配だ。


「離してください……」


私が言っても離してくれる気配はない。
気まずい空気が流れ始めた時低い声が私を貫いた。


「いい加減にしろ」


何処までも低い声が私の肩を震わせた。