素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~

「お前たち、いつまでじゃれ合っているつもりだ。
さっさと仕事を始めろ。それと泰東、こっちへ来い」

「はい」

「はーい」


みんなそれぞれデスクに戻って行く。
私は橘部長の後に続き彼のデスクへち向かった。
自分のデスクの引き出しから大量の資料を取り出すと橘部長は私に差し出した。


「休んでいたお前の分の仕事だ」

「はい……ありがとうございます」


仕事が好きと言っても流石に顔が引き攣るほどの資料を受け取った私はフラフラと自分のデスクへと向かった。
資料をデスクに置けばドンと鈍い音がした。
……早く片付けようと資料に手を伸ばせば呆れたような声が聞こえてきた。


「その量……俺の時を思い出すよ」

「佐藤せんぱい!
……そう言えば先輩も同じような目にあってましたね!」

「あぁ、あの人は鬼畜だな。絶対にドSだよ」

「ふふっ」


そう言って橘部長を見る佐藤せんぱい。
口ではそう言っているものの、先輩の目はどこか優しかった。
何だかんだ言って橘部長は優しい。その事をみんなは気付き始めたみたいだ。
橘部長がこの部署に来た時の険悪な雰囲気は完全に消え去っていた。


「それにしても……橘部長も不器用だな」

「え?」

「あれでも凄く心配してたんだぞ?
ぼんやりと夏香のデスクを見たり、間違って名前を呼んだり」

「……」


橘部長が私の事を……。
それからも佐藤せんぱいは何かを喋っていたが私の頭は橘部長でいっぱいで何も入ってこなかった。