素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~

「それと夏香ちゃん……ごめん。
俺……濡れたままの君をそのままにしとく訳にもいかなくて……その……」


扉の方に視線を向ければ、私から目を逸らす翔也さんが視界に映った。
その顔はほんのりと紅くなっていた。
その顔と言葉がさっきの私の考えは正しかったと教えてくれる。
翔也さんは濡れた私を着替えさせてくれたんだ。
裸を見られたのは死ぬほど恥ずかしい。
でも……彼の優しさが凄く……温かい。
言いにくそうに顔を歪める翔也さんの言葉を優しく遮る。


「翔也さん、ありがとうございます」

「……夏香ちゃん……どういたしまして」


笑顔を浮かべる私の顔を見た翔也さんは驚いた顔をしていたけど直ぐにいつもの笑顔を浮かべてくれた。


本当に翔也さんはいい人だ。
私も翔也さんみたいな人になりたい。
彼の様に温かくて優しい人間に。
今の私は子供っぽくて泣き虫で……何もかもが嫌だ。


「夏香ちゃん」

「……しょ……や……」


彼の声が遠くに聞こえる。
私が喋ろうとしてもその声は上手く発することが出来ず、ただ瞼が重くなるのだけを感じていた。


「夏香ちゃん?
……熱い……また熱が上がってきちゃったのかな……。
とにかく今はおやすみ……」

「……」


ひんやりと冷たい感触が私のおでこに与えられる。
返事をしたいのに声が出ない。

ごめんなさい翔也さん……もう少しだけお世話になります。
私は心でそう呟いて開いていられないくらい重い瞼を閉じた。