素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~

仕事だけは頑張るって決めていたのに……。
本当に何をやっているのだろうか……。


「会社には……って言うか……橘さんには連絡しといたから安心して」

「……え……?」

「ごめん、余計なお世話かと思ったけど……。
橘さんが変に思うといけないと思って」

翔也さんは申し訳なさそうに言ったけど、私にとっては凄く有難い。

だって失恋した後に無断欠席とか……。
失恋したショックで会社に行けないって思われるかもしれないもん。
橘部長にそんな風に思われるなんて絶対に嫌だ。


「ありがとうございます。
翔也さんには本当に感謝してます」

「……なんか照れるね」


そう言うと翔也さんは私の体を離しゆっくりと立ち上がった。
そして、私に背を向けながら話し出す。


「何か飲み物を持ってくるよ。
水分をとった方がいい」


いつもの優しい翔也さんの声。
でもちらっと見えた翔也さんの顔は紅く染まっていた。

照れ隠し……とか?
疑問を浮かべながら首を傾げていれば、私の頭にはある人の顔が浮かぶ。


「……電話した方がいいかな……」


頭に浮かんだのは橘部長の顔。
真っ赤な顔を隠す様に私から逸らす橘部長の姿が、さっきの翔也さんとリンクした。

私って……本気で橘部長が好きなんだ。
鞄からスマホを取りだし会社の番号を見つめる。

翔也さんが連絡してくれたって言ってたけど、私からもした方がいいよね……。
そう思いながら電話を掛けようとすれば優しく私を咎める様な声が聞こえた。


「こーら、何してるの?」

「翔也さん……」


翔也さんは不機嫌そうに私に近づくと私の手からスマホを奪う。
そして、スマホをテーブルに置いて私が寝ていたベッドへと腰を掛けた。


「はい、スポーツドリンク。ちゃんと飲んでね」

「……ありがとうございます……」


翔也さんからグラスを受け取る。