素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~

「すみません私……」

「謝らないでよ。
ちょっとはさ……頼ってよ……俺の事」

「翔也さん……」


彼の寂しさが体から伝わってきそうだ。
顔は見えないけど、哀しそうな顔をしているのが頭に浮かぶ。


「……まだ体……熱いね」

「……そんな事……」

「無理しなくていいって。
40度近くも熱があったんだから辛くない訳ないんだから」

「よ……40度……」


そんな高熱を出したのは子供の頃以来だろう。
驚いていれば哀しそうな声は怒気を含んだ声に変わった。


「……寝不足やストレスだって医者が言ってた。
3日以上……目を覚まさないって……どんだけ無理をしてるの?」

「ご……ごめんなさい」


思わず謝ってしまうくらいの低い声。
でも翔也さんが心配してくれているって事は伝わってくる。

私はいったい何をしているんだろうか。
失恋くらいで寝不足になって……。
寝不足の体で全速力で走ってて……おまけに雨にうたれるなんて。
そんな事をしたら風邪を引くに決まっているのに……。

自分の行動がどれだけ幼稚なものであったかが痛いくらいに身に染みる。
しかも、自分だけならまだしも翔也さんまで巻き込むなんて……。
後悔をしていれば背中に嫌な汗が流れた。
さっき翔也さんはなんて言った?
3日以上、目を覚まさなかったって……。
私が倒れたのは金曜日だったはず……それから3日って……。


「会社……」

「え?」

「今日って月曜日ですか!?」

「う……うん」

「……無断欠勤……しちゃった……」


私の慌て様に驚く翔也さんをよそに私は1人で落ち込んでいた。