素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~

体が熱い。
焼けるように熱が帯びた私の体は少しも動く事はなかった。

頭も使い物にならないくらい真っ白になっている。
でもそんな中でも思い浮かぶのはあの人の顔だ。
冷たい目で私を見てくるあの人は……。
仕事熱心で、化粧品の為なら自分のクビすらもかけてしまう人。

私はそんな人に恋をして……そして失恋した。
胸の痛みが私を襲い、そして私の心を蝕んでいく。

こんなにも辛いのなら……いっそ感情が消えてしまえばいいのに。
そう頭に浮かぶ。でも……やっぱり嫌だ。
私があの人を……橘部長の事を好きだって思いは消したくない。


『夏香ちゃんが好きなんだ』


真っ直ぐに私への想いを伝えてくれた翔也さん。
気持ちは本当に嬉しかった。
でも……私は……。


「……ん……」


おでこに冷たさを感じてゆっくりと目を開く。
体がだるくて目を開けるだけで辛い。
光りが目に入り眩しさで再び閉じようとすれば哀しそうな声が私の行動を止めた。


「夏香ちゃん!大丈夫……?」

「翔也さん……?」


まだ再起していない私の目に映ったのは泣きそうな顔をした翔也さんだった。
翔也さんは私の顔を見るなりこっちに駆け寄ってくる。
寝転んでいた体を起こそうとしてもちっとも動かなかった。
体がだるいっていうのもあったけど翔也さんが私を抱きしめていたから。


「……心配……したんだから」

「私……いったい……」


記憶が途切れ途切れで分からない。
分かるのは……異常なまでに体が重たいって事だけだ。


「雨の中で意識を手放して……それからずっと目を覚まさなかったんだよ……」

「意識を……」


確か雨の中で泣き崩れていた時に彼が来てそれから倒れちゃったんだ。
また……翔也さんに迷惑を掛けてしまった……。