素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~

「私が好きなのは橘部長です。
ずっとずっと……大好きでした」


やっと言えた自分の気持ち。
私の心は何処か清々しかった。

結果が分かってる告白ほど虚しいものはないけど、私はちゃんと向き合えた。
それだけで十分だ。


「今……なんて……」


見た事も無いくらい驚いた顔の橘部長。
溢れ出す涙でだんだん見えにくくなってきた。


「……マコさんとお幸せに」

「泰東!!」


これ以上は限界だった。
橘部長の顔を見ていると……辛くて辛くて……どうにかなりそうだった。
だから私は走り出す。
何処でもいい。どこか1人になれる所なら。
そう思って走り続ければいつかの公園に辿りついていた。

私が失恋した時に来たあの公園。
あの時もここで泣いたっけ。
懐かしくなりながら私は公園で立ち尽くす。

あの時も今も失恋した事にかわりはない。
でも少し違うのは私がちゃんと気持ちと向き合えたかどうかだ。

この前の失恋よりずっといい失恋だ。
なのに……胸は苦しい。

前とは比べ物になんかならないくらいの胸の痛さが私を襲う。
その痛みに耐えきれなくなった私はその場に崩れ落ちた。


「たち……ばな……ぶちょ……」


彼の名前を出すだけで、彼を思い出すだけで涙が止まらなくなる。
彼との思い出が次々と頭に浮かぶ。

私の涙を隠す様に空からは雨粒が落ちてくる。
空も一緒に泣いてくれているのだろうか。

何だか少し救われた気分になっていた。
1人じゃないって思える。
だけど、哀しみには消えてはくれない。
むしろ……虚しい様な感覚が私を襲ってきた。

体が雨で濡れていく。
髪が濡れて顔に張り付いて気持ちが悪い。

いつの間にかどしゃ降りになった雨。
服も肌に張り付いていてこれが夏だったら大変な事になっていただろう。

まあそんな事はどうでもいい。
このまま雨と一緒に消えてしまいたい。

いっその事……橘部長への想いも雨と一緒に消えてなくなればいいのに。