素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~

胸が痛い。
ズキズキと痛む胸を押さえながら走り続ける。

橘部長とマコさんがキスをしている光景が頭から離れない。
考えない様にすればするほど鮮明に現れる。

もう、遅かった。
私が向き合おうとした時にはもう……。
涙が零れそうになった時私の体は急に止まった。


「泰東!!」


手首に感じる温もり。
低い声が私の胸を高鳴らせる。
でも、今は悲しみの方が大きい。

後ろにいるのは誰かなんて見なくても分かる。
だけど振り返りたくない。
顔を見たら泣いてしまいそうだから。


「……手を離してください」

「泰東!話しを聞け!!」

「聞きたくないです」

「泰東!!」


怒鳴り声が聞こえたと思ったら私の体は勢いよく向きが変わった。
私の目の前には橘部長がいる。
橘部長が私の体を振り返させたんだ。


「何で泣いているんだ……」

「泣いてなんか……」


本当は分かっている。
私の目から涙が出ていることくらい。


「どうして俺を惑わせるんだ」

「橘部長……?」

「お前は水沢さんと付き合っているんだろう?
これ以上俺を……」


橘部長の言葉をこれ以上聞きたくない。
このまま誤解もして欲しくない。
その気持ちが強かったのか私は大声を出していた。


「私は水沢さんとは付き合っていません」

「……え……」


目を大きく見開く橘部長をみて私は何故か開き直っていた。
どうせなら……気持ちをちゃんと伝えてこの恋を終わらせよう。