素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~

金曜日


翔也さんとのコラボ商品の発売イベントから3日が経った。
あれから私は凄く悩んでいた。

翔也さんの言っていた言葉が今でも耳に残っている。
“真っ直ぐにぶつかってみなよ”
自分の気持ちを押し殺していた私には耳が痛くなる言葉だった。

でも胸に響いた。
翔也さんの言葉も姿も私の心に焼き付いている。


「やっと終わったー!!」


大樹の声で就業時間が終わったのだと気が付く。
今日はあっという間に時が過ぎた。

そういえば今日は渚と飲みの約束をしてたんだっけ。
そう思い立ち上がれば周りにはもう人はいなかった。

さっきまで皆いたのに……帰るの早いな。
そう感心していれば橘部長は何故か白衣を持って立ち上がっていた。


「橘部長?」

「た……泰東……まだいたのか?」

「あ……はい。橘部長は何で白衣を……。
今日は金曜日ですよ残業は駄目ですよ?」


橘部長は私を見るなりに気まずそうに顔を歪めた。
何故そんな顔をするのだろうか。
それにしてもなぜ白衣?
開発室にでも行くのかな?


「許可は取ってあるから心配はしなくていい」

「そうですか……急ぎの仕事なら手伝いますけど……」


なぎさには連絡をすればいいし。
そう思い白衣に手を伸ばせば橘部長は大きな声で叫んでいた。


「大丈夫だ!!」

「……そ……そうですか?」

「あ……あぁ。すまないな」

「いえ……じゃあ失礼します」


頭を下げてオフィスを後にする。
そう言えば最近、開発室によくいるような気がする。
それに橘部長の様子もおかしかったし。
でも私にはどうする事も出来ないか……。

これ以上自分の無力さを痛感したくなくて私は早足で会社から出る。