自分のデスクに戻り返品された資料とにらめっこをする。


これ……かなり自信があったんだけどな……。


今、私たち商品企画開発部では新商品を考えてる真っ最中だ。
私がさっき出したこの企画書は私が考えた化粧品だったのだが、部長にあっさり却下されてしまった。


いつもこうだ。
2年間、私の企画が通った事はたった1度もない。


私……才能ないのかな……。


“誰かが喜ぶ、笑顔になれる化粧品が作りたい”私の子どもの頃からの夢。
やっとそのスタートラインに立てたというのに、私は何をしているのだろう。


「災難だったな、夏香」

「大樹……」


少し落ち込んでいれば、隣のデスクから顔を出して私を見つめる同僚、田辺 大樹(たなべ だいき)。
私の事を心配してくれるのはこの人だけだろう。


だからと言ってみんな仲が悪い訳ではない。
むしろ仲が良いと言ってもいいだろう。


でも1つ問題なのが、この部署に女の人が私しかいないこと。
化粧品会社と言ったら女性のイメージがあるかもしれないが、この会社はそうでもない。
男性ばっかりだ……。
他の部署にもほとんどいないし……。


「夏香?」

「ん?」

「頑張ろうぜ?」

「……うん」


それでも何とかやってこれたのは、ここで働く仲間のおかげ。
後、大樹の癒しの笑顔のおかげかな?