「ごめんね、呼び出しといていきなり抱きしめちゃって」
「……いえ」
落ち着いたのか翔也さんは私から離れるとソファーに座り私を自分の隣に座らせた。
そして座った事を確認すると、翔也さんはゆっくりと口を開いた。
「……俺さ……メイクアップアーティスト辞めようかな」
「え……」
衝撃的な内容だった。
彼は今この業界で1番の人気を持つ人だ。
その彼が辞めるとなれば大ニュースになるだろう。
それくらい影響力を持っている。彼がメイク界の王子だという事を知った日から私は彼について勉強したからそのくらいの事は知っている。でも分からないんだ。あれほどの腕があって何故辞めたいのかが……。
それにさっきこの部屋に入った時に見た翔也さんは、真剣にメイク道具と向き合っていた。
そんな彼が本気で辞めたいと言っている様には見えない。
「……翔也さん……何かあったんですか……?」
聞いていい事なのか迷ったけど、私はその言葉を口にした。
すると翔也さんは疲れたように笑った。
「水沢 翔也でいる事が疲れちゃった」
「……どういう事ですか?」
「俺はメイクをするのが好きだった。
女の人が笑顔になってくれることが嬉しかった。
だけど今は……もう嫌なんだ」
そう言って翔也さんは床に落ちていた紙を拾うと哀しそうにそれを見ていた。
「俺がどんなメイクをしようと誰も興味がないんだよ」
「そんな事……」
「興味があるのは、水沢 翔也という名前だけだ。みんな俺をメイク界の王子としてしか見ない。
メイクをした後の笑顔も俺のメイクが気に入ってくれたからじゃなくて、俺がメイクをしたという事実に笑顔を浮かべている」
私にはその気持ちを完全に分かってあげることは出来ない。そんな経験した事ないから、今翔也さんがどんな気持ちでいるのかは想像でしかわからない。
でもきっと……凄く悔しいと思う。
その悔しさを表すかのように翔也さんが持っていた紙にひと粒も雫が落ちた。
「……いえ」
落ち着いたのか翔也さんは私から離れるとソファーに座り私を自分の隣に座らせた。
そして座った事を確認すると、翔也さんはゆっくりと口を開いた。
「……俺さ……メイクアップアーティスト辞めようかな」
「え……」
衝撃的な内容だった。
彼は今この業界で1番の人気を持つ人だ。
その彼が辞めるとなれば大ニュースになるだろう。
それくらい影響力を持っている。彼がメイク界の王子だという事を知った日から私は彼について勉強したからそのくらいの事は知っている。でも分からないんだ。あれほどの腕があって何故辞めたいのかが……。
それにさっきこの部屋に入った時に見た翔也さんは、真剣にメイク道具と向き合っていた。
そんな彼が本気で辞めたいと言っている様には見えない。
「……翔也さん……何かあったんですか……?」
聞いていい事なのか迷ったけど、私はその言葉を口にした。
すると翔也さんは疲れたように笑った。
「水沢 翔也でいる事が疲れちゃった」
「……どういう事ですか?」
「俺はメイクをするのが好きだった。
女の人が笑顔になってくれることが嬉しかった。
だけど今は……もう嫌なんだ」
そう言って翔也さんは床に落ちていた紙を拾うと哀しそうにそれを見ていた。
「俺がどんなメイクをしようと誰も興味がないんだよ」
「そんな事……」
「興味があるのは、水沢 翔也という名前だけだ。みんな俺をメイク界の王子としてしか見ない。
メイクをした後の笑顔も俺のメイクが気に入ってくれたからじゃなくて、俺がメイクをしたという事実に笑顔を浮かべている」
私にはその気持ちを完全に分かってあげることは出来ない。そんな経験した事ないから、今翔也さんがどんな気持ちでいるのかは想像でしかわからない。
でもきっと……凄く悔しいと思う。
その悔しさを表すかのように翔也さんが持っていた紙にひと粒も雫が落ちた。


