素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~

「この会社は昔も今も何も変わっちゃいない。
利益を求める会社に俺も最初は反発していたんだ。
だが……俺が必死になればなるほど何も上手くはいかなかった」


煽る様にビールを飲む橘部長。
もう何杯目か分からないそれを勢いよく体に流し込んでいた。

止めようとするも、橘部長はそれを制して話し続ける。


「当時は化粧品関係の仕事は女ばっかりだった。
今は違うが……うちの会社も例外ではなく男は肩身が狭い想いをしていたんだ。
そんな中でも俺なりに懸命にやったつもりだった……だが……」

「橘部長……もうやめ……」


飲むペースが早くなり、流石に危険を感じ私は橘部長に近づき腕に手を伸ばそうとする。


「きゃっ!?」

「……話は黙って聞くもんだぞ」

「た……橘部長……」


いきなり反転した私の体は橘部長の下にあった。
“押し倒されている”その事が分かった途端に私の鼓動は激しく揺れた。

酔っている感じには見えないけど、酔っているに違いない。
そうでなかったら橘部長がこんな事する訳がない。

そう心に言い聞かせ、橘部長をどかそうと手を伸ばす。
でもその手は簡単に掴まれ両腕を頭の上で固定された。


「黙って聞けと言っているだろう」

「……」

「返事はどうした?」

「は……はい」


私が頷けば橘部長は満足したように話しだす。
しかし、どく気が全く見えない。

橘部長は私を見下ろしながら再び口を開いた。


「会社の人間も、俺の周りの人間も俺を白い目で見た。
男が化粧品の事で必死になるなんて馬鹿げてるってな……」

「橘部長……」