素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~

「ありがとう……なぎさ」

「……別に!上手くいくといいね」

「……うん……」



橘部長と特にどうにかなりたい訳ではない。

あの人といるだけで幸せだから。
だけど……少しだけ贅沢を言っていいのなら……。


私は目の前にある残り少なくなったカシスオレンジを一気に煽った。
そして机の上に上半身を預け考えるように目を瞑った。


私に自分の気持ちを伝える勇気が欲しい。
もう……これ以上、嘘をつきたくない。


自分にも、橘部長にも。



「橘部長……」

「……あんた重症だわ」


私の呟きが聞こえていたのか、なぎさはゲラゲラと笑いながらもう何杯目か分からないビールを口にしていた。



「……でもさ……夏香を見てると、こう……幸せになるんだよね」

「なにそれ!?馬鹿にしてる!?」


からかわれたと思い、一気に体を起こしてなぎさを見る。
なぎさは、驚いた様子もなく枝豆を口にしていた。
その呑みっぷりはもう、オジサンと言っても過言ではない。


「してない、してない!
何て言うのかな~。ん~考えるのも面倒くさい!」

「なにそれ!」


相変わらずテキトウな人だ。
そう思いながらも、やっぱりこの人は私の1番の理解者だとも思える。

小さい頃からずっと一緒だったなぎさ、いい所も悪い所も含めて全部、私は好きだな。
早く、なぎさも幸せになって欲しい。


そう願いながら、注文したカシスオレンジを口に含んだ。