素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~

「すみません……私……嬉しくてっ……」



次から次へと溢れ出てくる涙は、これまでの皆の想いを思い出させてくれた。
皆の力が私の考えた商品に息を吹きかけてくれた。


皆のお蔭で……私の夢が叶った。
それが嬉しくて、嬉しくて……涙が止まらない。


「フッ」


優しい笑い声が聞こえ、上を見上げれば橘部長が立っていた。
そして私たちを囲むようにして皆が立っている。


「泰東、よく頑張った。
お前の努力の勝利だ」

「っ……橘部長!!」


皆の前で、私は力強く引き寄せられた。
そして橘部長の腕の中へとおさまる。


私の背中に回された腕や、肌に感じる橘部長の温もりが
これは夢ではないと実感させてくれる。


「どさくさに紛れて何してるんすか!?」

「ズルいですよ、橘部長!」


皆が橘部長に普通に接している事も嬉しくて、私の顔はさっきから緩みっぱなしだ。



「橘!泰東!
って何を抱き合ってるんだお前らは……」


呆れた声と同時に私の体から温もりは消えた。
それに寂しさを感じていれば、橘部長の顔が紅く染まっているのが目に映り、その寂しさはなくなっていった。


「あ!部長!」


さっきの呆れた声が部長の声だったんだ。
目の前でタメ息をつく部長を見ながら納得をしていると、空気を凍らせる言葉が聞こえた。


「社長がお呼びだ」


部長の声に、自然と引きあう様に私と橘部長は顔を見合わせた。


「……」

「……」


そして、無言で頷き合う。
力強い目の橘部長の背中を追う様に私はオフィスを出た。