「泰東?」
「橘部長……私……」
私の体が微かに震えているのに気が付いたのか橘部長は私を見ていた。
どこか優しい彼の声に私はつい言ってしまいそうになった。
“翔也さんが怖いと”。
そんな事を言ってもどうにもならないのに。
「お待たせしました、橘さん、夏香ちゃん」
「いえ、お忙しい所に申し訳ありません」
「いえこちらこそ。
……夏香ちゃん?どうしたの?」
翔也さんは私の顔を覗き込むようにして見ていた。
私と翔也さんの視線が交じり合う。
今、私の目の前にいる翔也さんは私が知っている翔也さんだ。
少し心配そうな顔をしているが、優しさが滲み出ている。
だけど、私にはさっきのメイクをしている冷たい翔也さんの顔とダブって見えてしまった。
「っ……」
悲鳴にならない言葉を私は出す。
私の意志とは関係なく体が小刻みに震えだす。
「泰東……?」
「夏香ちゃん……?」
橘部長と翔也さんの心配そうな声が同時に聞こえた。
しっかりしなきゃ、そう思うのに私の体の震えは消えてくれない。
「すみません、少し失礼します」
「泰東!!」
「夏香ちゃん!!」
2人が私を呼ぶ声が背中越しに聞こえるが私は逃げる様にその場から立ち去った。
部屋を出てテキトウに走っていたら、後ろから誰かに手を掴まれた。
「泰東!!」
「橘部長……」
「どうしたんだ……何で泣いてるんだ……?」
そこに立っていたのは橘部長だった。
私の顔を見ながら驚いたように目を見開いている。
「すみません私……」
「……すまない、泰東」
そう小さく呟くと、橘部長は私を勢いよく自分の方に引き寄せた。
いきなりだった為、私はバランスを崩す様に橘部長の体へとおさまる。
ガッシリとした体つきに胸が高鳴ると同時に涙がもっと溢れ出てきた。
橘部長の腕の中は、凄く落ち着く。
「無理をするなと言っているだろう?」
「……橘部長……少しだけ……」
「ん?」
「少しだけ甘えさせてください」
「あぁ」
私は橘部長の胸の中で声を押し殺すようにして静かに涙を流した。
「橘部長……私……」
私の体が微かに震えているのに気が付いたのか橘部長は私を見ていた。
どこか優しい彼の声に私はつい言ってしまいそうになった。
“翔也さんが怖いと”。
そんな事を言ってもどうにもならないのに。
「お待たせしました、橘さん、夏香ちゃん」
「いえ、お忙しい所に申し訳ありません」
「いえこちらこそ。
……夏香ちゃん?どうしたの?」
翔也さんは私の顔を覗き込むようにして見ていた。
私と翔也さんの視線が交じり合う。
今、私の目の前にいる翔也さんは私が知っている翔也さんだ。
少し心配そうな顔をしているが、優しさが滲み出ている。
だけど、私にはさっきのメイクをしている冷たい翔也さんの顔とダブって見えてしまった。
「っ……」
悲鳴にならない言葉を私は出す。
私の意志とは関係なく体が小刻みに震えだす。
「泰東……?」
「夏香ちゃん……?」
橘部長と翔也さんの心配そうな声が同時に聞こえた。
しっかりしなきゃ、そう思うのに私の体の震えは消えてくれない。
「すみません、少し失礼します」
「泰東!!」
「夏香ちゃん!!」
2人が私を呼ぶ声が背中越しに聞こえるが私は逃げる様にその場から立ち去った。
部屋を出てテキトウに走っていたら、後ろから誰かに手を掴まれた。
「泰東!!」
「橘部長……」
「どうしたんだ……何で泣いてるんだ……?」
そこに立っていたのは橘部長だった。
私の顔を見ながら驚いたように目を見開いている。
「すみません私……」
「……すまない、泰東」
そう小さく呟くと、橘部長は私を勢いよく自分の方に引き寄せた。
いきなりだった為、私はバランスを崩す様に橘部長の体へとおさまる。
ガッシリとした体つきに胸が高鳴ると同時に涙がもっと溢れ出てきた。
橘部長の腕の中は、凄く落ち着く。
「無理をするなと言っているだろう?」
「……橘部長……少しだけ……」
「ん?」
「少しだけ甘えさせてください」
「あぁ」
私は橘部長の胸の中で声を押し殺すようにして静かに涙を流した。


