素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~

「翔也さん……?」

「泰東?」

「あ……すみません」




急いで橘部長の腕から離れて、助けてもらったお礼を言う。




「危ないから、少し離れるぞ」

「……はい」




橘部長の背中を追いかける。
でも、私の頭の中はさっきの光景でいっぱいだった。


ステージ上で女性のメイクをする翔也さんは、私が知っている彼ではなかった。


顔は笑顔に包まれているし、優しい雰囲気が出ていた。
まるで本物の王子様みたいに。



だけど、彼がメイクの道具を触れるたびに、女性の顔に触れるたびに……。
彼が壊れてしまう……そんな感覚を感じた。



“喜び”でも“悲しみ”でもない……。
独特の感情が彼に纏わりついている様に私は見えたんだ。