素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~

「格好良いよね!!」

「さすがメイク界の王子」




大きな公園に群がるように大量の人がいる。
しかも、それのほとんどが女性だ。


今日はこの公園でステージが行われるそうだ。
例のメイク界の王子が、その場で素人さんのメイクをする、といった内容のものだ。



よほど人気なのか、お客さんの歓声で進行の人の声が聞こえない。




「すごい人気だな……あの若さで大したものだ」

「あの若さ……?」




隣にいる橘部長の声さえよく聞き取れない。
でも、何とか会話ができる程度だ。




「確か、26だったな。お前より2歳上だ」

「26……」



その若さでここまで人を惹きつける才能があるなんて……。
驚きや尊敬の感情が入り混じる。


いったいどんな人なのだろう?




「さすがの腕だ」

「え?見えるんですか?」

「あぁ」




橘部長は、メイク界の王子がいるだろう場所を、感心したような顔で見ていた。
橘部長さえも納得させる腕……。


見たい、という欲求が私に襲い掛かる。


その時。



「キャー!!しょーやー!!」



メイク界の王子のファンらしき人が私ぶつかってきた。




「きゃっ……」

「大丈夫か?泰東?」




倒れかけた私の体を支えてくれたのは橘部長だった。




「大丈夫で……」



橘部長の腕から離れようとした時、私の目には男の人が映った。
ステージ上でメイクをしているその人。


メイク界の王子……そう呼ばれる人は私が知っている人だった。